再生医療は、変形性膝関節症
治療でどう役立つ?

ひざの痛みや原因については分かったけれど、治療はどうやって進めるの? 再生医療はどう役立つの? そんな疑問にお答えします。

変形性膝関節症の重症度

治療内容は、疾患の重症度によっても変わってきます。まずは変形性膝関節症の重症度分類をお示ししましょう。

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変形性膝関節症の重症度

  1. グレード0
    正常な状態です。
  2. グレードⅠ
    関節の隙間(軟骨)が十分に保持されています。変形性膝関節症の予備軍と呼べる段階でしょう。ただし、痛みの程度は必ずしも軽度でないことがあります。
    治療は内服薬による痛み止め治療がメインになるでしょう。
  3. グレードⅡ
    軟骨が減り始め、関節の隙間がやや狭まってきます(隙間の消失具合は25%以下)。とはいえ、軟骨の半分以上は残っているので、関節は滑らかに動かせる段階です。
    この頃になると、内服薬とともに、ひざに直接ヒアルロン酸を注入する治療も併用されるかもしれません。
  4. グレードⅢ
    関節の隙間が本来の半分以上(50~70%)消失した状態です。
    定期的なヒアルロン酸の注入が欠かせなくなってくる段階です。この段階になると、医療機関によっては手術をすすめられることもあるでしょう。
  5. グレードⅣ
    関節の隙間がほぼ消失(75%以上)した状態です。大きな骨棘(骨にできるとげ)や関節の変形が激しくなり、ほとんどの医療機関で手術適応と判定されるでしょう。

再生医療に期待されるのは、
変形性膝関節症の進行抑止

変形性膝関節症の治療で再生医療を用いる目的は、疾患の進行を遅らせて、大掛かりな手術療法や人工関節置換術に踏み切らざるを得ない時期を少しでも先送りすること、もしくは進行そのものを食い止めることです。したがって、末期の手前までの方たちが対象となります。
具体的には、徐々に症状の悪化が認められるものの、他にこれといった治療手段がないため、漫然と内服やヒアルロン酸注射を続けているような方たちです。このような場合の新しい選択肢として、今、注目されています。

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再生医療に期待されるのは、変形性膝関節症の進行抑止