自家培養軟骨移植術
軟骨細胞を材料に行う治療

軟骨の損傷に対し、患者さんの健康な軟骨細胞を体外で増殖してから欠損部に移植するという治療法です。変形性膝関節症は適応外ではありますが、ひざ関節の外傷性軟骨欠損症や離断性骨軟骨炎の症状緩和に有効ということが認められ、治験をスタートした2004年から9年後の2013年に保険が適応されました。

どんな治療?

まずは患者さんのひざ関節から、0.4gの軟骨を採取します。その軟骨をコラーゲンと混ぜ合わせて4週間かけて培養し、それを軟骨が欠けた部分に移植するという治療法です。移植した培養軟骨がはずれてしまわないよう、骨の表面を覆う骨膜でふたをします。
なお保険適応の範囲は、外傷性軟骨欠損症や離脱性骨軟骨炎で、軟骨の欠け具合が4㎠以上かつ他に治療法がない場合とされています。

自家培養軟骨移植術の流れ

軟骨採取(30~40分) → 入院(1日) → 自家培養軟骨の作製(約4週間) → 移植手術(約2時間) → 入院(約1ヵ月)

材料となる軟骨は、関節鏡手術で採取します。大きな切開がないため、30〜40分の処置で入院も1日ほどです。一方、培養軟骨の移植はひざを切開するため、全身麻酔を用いた2時間ほどの手術となります。術後1〜2週間くらいで筋トレや可動域訓練などのリハビリを開始し、約1ヵ月後に退院となるケースが一般的のようです。
退院後もリハビリ継続する必要がありますが、ひざに負担のかからないお仕事なら、治療から早くて2ヵ月ほどで復帰できると言われています。退院後もリハビリ継続する必要がありますが、ひざに負担のかからないお仕事なら、治療から早くて2ヵ月ほどで復帰できると言われています。

自家培養軟骨移植術の特徴

  • 移植手術後は約1ヵ月ほどの入院が必要
    軟骨で軟骨の
    欠損部分を埋められる
  • 再度治療を受ける場合は、改めて採血の必要あり
    移植手術後は
    約1ヵ月ほどの
    入院が必要
  • 仕事によっては早くて2ヵ月ほどで復帰可能
    仕事によっては
    早くて2ヵ月
    ほどで復帰可能

どんな効果が期待できる?

自家培養軟骨を欠損部に移植するため、失っていた軟骨という組織を取り戻すことができます。治療1年後に、周囲の軟骨組織とほぼ同じ硬さになっていることを確認できている症例もあるようです。実際に、現役復帰を叶えているスポーツ選手もいます。
治験でも、6年間の追跡調査において問題となるような症状は確認されておらず、ひざ関節の痛みや機能をスコア化した評価やMRI検査でも、状態は維持されていたそうです。

自家培養軟骨移植術の術後の変化
様々な評価基準において、治療前より改善していることがグラフからも見てとれる
Kobun Takazawa, et al.:J Orthop Sci. 2012 Jul;
17(4): 413–424.

様々な評価基準において、治療前より改善していることがグラフからも見てとれる

自家培養軟骨移植術に関する文献